第195話「めまぐるしく」

マンガ

無惨は回想する

あの男は初め 弱く見えた

覇気も 闘気も 憎しみも

殺意もない

そんな男が

私の頸を刎ね 切り刻むなど

さらには その傷が

何百年もの間 太陽の光のように

私の肉を細胞を 灼き続けるなど

たとえ 神や仏でも

予想できなかったはず

出鱈目な御伽噺としか 思えない

本当の化け物は あの男だ

私ではない!!

炭治郎は冷静に観察し思考を巡らせる

傷を隠せなくなってる

取り繕えなくなってるんだ

無惨は 確実に弱まってる

みんなで 繋いだ一秒が

無惨を ここまで追い詰めた

みんな みんな・・・!!

絶対倒すから

俺 最期まで ちゃんとやるから

激しく動く無惨の身体と、浮き出た古傷に集中する炭治郎

傷が動く・・・!!

あの場所に 心臓と脳があるに違いない

攻撃に押されて

透明な世界が 感知できなくても

急所を狙える

ただし、自分自身の体力も限界に近付いており、

自分以外に動ける伊黒は目を怪我しており視覚を使えない

炭治郎は思考をさらに巡らせる

伊黒さんの目を どうにかしなきゃ!!

鏑丸(かぶらまる)の手助けだって 限界がある

どうする・・・どうする・・・!!

そして気付く。

そうだ 目は・・・!!

愈史郎さんの目がある・・・!!

あれを拾えば・・・

鬼殺隊のカラスが時を告げる

夜明ケマデ四十分!!

カラスが夜明けまで40分と告げたのを聞いた無惨は、

思い切り加速してその場を離れようと駆けだした!!!

驚く炭治郎。理解にしばらく時間がかかった。

走って 逃げた・・・!?

「逃げた!!

逃げた 伊黒さん 無惨が逃げた!!」

同じく驚き身体が一瞬硬直する伊黒。

!?

逃亡・・・!!

炭治郎は思考する。

そうだ 当然だ

無惨は 誇りを持った侍でもなければ

感情で行動する 人間でもない

無惨は生きることだけに固執している生命体

夜明けも近く 命が脅かされれば

逃亡することにも 一切の抵抗がない

そう、無惨には誇りもプライドもない。

ただただ生きるということだけを考える、感情の無い生き物。

嘆く炭治郎。

ああっ・・・!! くそっ!!

どんどん遠ざかる 追いつけない

そんな・・・ そんな!!

負けるのか?

こんな負け方 あんまりだ

みんなの命が 無駄になってしまう・・・!!

この状況は、そう、煉獄杏寿郎との闘いの終盤に逃げた猗窩座と重なる。

逃げながら、鬼殺隊の隊士の亡骸を躊躇なく踏みつける無惨。

それを見て怒りを覚える炭治郎。

亡骸を踏みつけに・・・

血相を変えて、隊士たちの刀を拾っては無惨に向けて投げる炭治郎。

通常ならばたちまち傷も言える無惨だが、

今は体力を消耗し、毒の影響で弱体化している無惨には、

突き刺さる刃は危険なものとなっていた。

しつこい虫共

払っても 払っても 纏わり付く

今は斬撃よりも

体深くに刀が貫通する方が 危険だ

次の瞬間、伊黒の刃が無惨の喉元を上から突き刺す。

叫ぶ炭治郎。

伊黒さん これを

受け取って ください!!

鏑丸と視覚を共有して・・・

ところが、無惨が広範囲に攻撃を広げ、炭治郎と伊黒の双方に届いてしまう。

炭治郎の手から、愈史郎の紙がこぼれる。

ああっ 紙が・・・!!

再び叫ぶ炭治郎。

伊黒さん 大股三歩 右へ飛んで!!

ただし、紙が小さすぎて、視覚を完全に失っている伊黒には

「これ」が何なのかすら分からない。

炭治郎が投げたものが どこかわからない

小さすぎる・・・!!

炭治郎が叫ぶ。

鏑丸 頼むーーーーーーっ!!

炭治郎の思いが届き、鏑丸が愈史郎の紙を口で掴むことに成功する。

伊黒がつぶやく。

炭治郎 感謝する

視覚を得た伊黒は思考する。

見え方は人間と異なるが 視覚は開かれた

各段に 戦いやすい!!

「挟め!! 常に挟むよう 立ちまわれ!!

絶対に ここから逃がすな

二人なら できる!!」

伊黒の声にこたえる炭治郎。

「はい!!」

焦り、苛立つ無惨。

しつこい いつまでも いつまでも

どけ 私の道を 塞ぐな

息切れ・・・!!

体力の限界が 近づいている

この私の 肉体に・・・!!

そして場面は変わり、炭治郎のもとへと駆ける禰豆子。

禰豆子は右目を押さえている。

そして、右目を押さえていた手をおろすと。

禰豆子の右目が人間の頃の目に戻っていた。

次:第196話「私は」

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